「玄徳さんちの花ちゃん」「孟徳さんちの花ちゃん」「文若さんちの花ちゃん」「公瑾さんちの花ちゃん」「仲謀さんちの花ちゃん」が集まっておしゃべりしている、コネタです。
　
　

　
　
　「ねえ、お願い！」
　「気持ちは分かるけど」
　「だって、師匠が、師匠が！　がんとして折れてくれないんだもん！　芙蓉姫も口説くの、助けてよ～」
　「そりゃあ折れないわよ。他のオトコに嫁いだ可愛い可愛い弟子が、いーーっぱいいるんでしょ？」
　「わたしは会ってみたいのよ！　話し合ってみたいの！」
　「そりゃあね、わたしもあの赤いオトコに嫁いだ花がどういう扱いを受けているのかとか、笑顔仮面に嫁いだ花がどんな嫌みを言われているのかとか、陰気な長髪とうっかり恋に落ちてしまった花がどんなふうな目をしてあいつを見つめるのかとか考えると武器を研ぎたくなるわね！」
　「ふ、芙蓉姫、気合い入りすぎ…」
　「あら、そういうことでしょ？」
　そうかもしれないけど、それだけじゃなくて、まつりごとの話とか」
　「本当のことをお言いなさいな。そうでないと助けてあげないわ。」
　「うう…」
　「は・な？」
　「そうよ！　目は開いているのかって孟徳さんに頭を叩かれていた細目のひとと結婚した『花』がどういうふうにお仕事をしているのかとか、お兄ちゃんみたいな玄徳さんと結婚した『花』が師匠の仕事をどう手伝っているのかとか、呉の偉そうな仲謀と結婚した『花』はお仕事を続けているのかとか、知りたいの！」
　「…まったく」
　「芙蓉姫？」
　「あの師匠にしてこの弟子あり、ね！」
　
　
　「やあ、みんな。元気そうだね」
　「うわ！」
　「ししょう！？」
　「ずいぶんな驚き方をするねえ。傷つくなあ」
　「本当に驚きました。」
　「お久しぶりです…でいいのかな？」
　「わたしはなにか、不思議な感じ。」
　「そうだね、キミは我が君に嫁いでいるのだしね。ああ、可愛い子だね。」
　「ありがとうございます。」
　「あのう、師匠のところのわたしは…？」
　「それなんだけどね。ボクの奥さんは勉強熱心で、キミたちがどう暮らしているのか見てみたい、って言うんだよね。」
　「はい、ですからお招きしたいんですけど。」
　「ただ話すだけじゃなくて、どういうふうにご主人さまがたの仕事を手伝っているのか知りたい、というのが主らしいんだ。」
　「さすが師匠の奥さまですね！」
　「らしすぎ…」
　「それじゃ、ひとりづつお宅に招いたらいいのかな？」
　「そんなのつまらないわ。ここでみんなでおしゃべりしたいんだもの。」
　「そうよねえ。」
　「師匠、奥さまに、どうか肩の力を抜いておいでになるようにお話しくださいませんか？　わたしどもも、いくさの話をするために集まっているのではないのですから。」
　「うん、よく分かってるよ。女の子はそういうことが好きなものだしね。」
　「じゃあ、よろしくお願いします」
　「それじゃ、ボクからも条件。」
　「師匠の条件…？」
　「…笑顔の輝き方が公瑾さんに似てる…似てるわ…」
　「うん。全員、あの『制服』を着て集まる、っていうのはどう？」
　「えええ！？」
　「制服…」
　「これだけ身分がいろいろあると、ボクの花も着る衣に困ると思うんだよ。うっかり我が君より上だったり、魏の丞相殿より派手だったりするのは、あとあと面倒だと思うんだ。だからね、制服。」
　「わたし、どこに仕舞ったかなあ…」
　「わたしはいつの間にか仕舞われちゃったよ？　公瑾さん、教えてくれるかな…」
　「それでお願いするよ。じゃ、またね」
　
　
　「あの男はどこで会っても面倒な…」
　「せーふく、って、あの、花の太ももが丸見えの、あれか！」
　「孔明のやつ、ずいぶん難儀な条件を出してきたな」
　「駄目に決まってんだろ！　なあそうだよな公瑾！」
　「しかし、花はずいぶん乗り気なようです」
　「女の子は、若い格好をするのが好きなものだしねえ～ふふ」
　「丞相も乗り気でおられるようですね。…平気なのですか、あなたの花殿がはしたない格好をなさっても」
　「他の花ちゃんの可愛い足が見られるなら全然かまわない！」
　「しかしな…」
　「はっはっは、意外とカタいな玄徳！」
　「お前に言われたくない！」
　
　
（２０１１．５．６）

[28回]