二次創作。はじめての方はat first はじめに をご一読ください。
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前回のコネタさんと同じく、あの有名な台詞から。
リクエストありがとうございました!
リクエストありがとうございました!
孟徳が何か言いたげにこちらを見ている。花はそれを分かっていて、侍女に孟徳の上衣を手渡した。夕食をすぐ運んでくれるように言うと、侍女は小腰をかがめて了承した。
「今日はどこにも抜け出さなかった、って、文若さんが褒めてました」
卓へ歩き出しながら言うと、ずしりと後ろからしがみつかれた。
「も、孟徳さん、重いです…」
「花ちゃんのいじわる」
涙声だ。
「いじわる」
繰り返して言われる。花は苦笑して、前にまわった手に手を添えた。
「何のことですか?」
「花ちゃんはいじわるだー!」
叫ぶ、というのに近い声が耳元で破裂した。花は顔をしかめた。
「孟徳さんってば」
「花ちゃんってば、ひどいよ」
「どうしてですか?」
「いつ言ってくれるの? 花ちゃんからこういう言葉があるんですよって聞いてから、俺もう、毎日楽しみで楽しみでそれを聞くまでは死ねないって思ってるくらいなのに!」
「じゃあ一緒に長生きしましょう」
「いま言ってくれないとやだ!」
花はようやく躰をねじって孟徳を見た。ふてくされた顔がぷいと逸らされる。
「孟徳さんは、いまわたしが言わないと応じてくれないんですか? 年を取ったわたしは要りませんか?」
「そんなわけないじゃない」
「なら、もうちょっと待って下さいね」
「でもでも、あれって、新婚さん、が言うんでしょ? だったらいまで良いじゃない! 俺と花ちゃんは婚儀を挙げてからまだ一年にならないんだよ?」
勢いよく振られている大きな尻尾が見えそうだ。――花が苦笑すると孟徳の眉根が寄った。
「あ、なんか失礼なこと考えてない?」
「いいえ、孟徳さんって可愛いなあって」
「花ちゃんの可愛い、は、元譲にも適用されるからなあ」
ふて腐れ度が増した彼に、花は驚いた。
「孟徳さんって何でも知ってますねえ」
いかつい躰を縮こまらせるようにして簡を拾い集めていた元譲を遠目に見て、一緒だった侍女に、ちょっと可愛いですねと言ったのは昨日のことだ。孟徳はふふん、というような表情になった。
「花ちゃんの声ならなんでも聞こえる。」
「凄い…」
「褒めても誤魔化されないから!」
孟徳が顔を寄せた。
こんな場合でも、こういう真剣な顔は好きだなあ、と花はうっとり思った。そして、彼の体に手を回し、唇を彼のそれにそうっと近づけた。
「ごはんにしますか、お風呂にしますか、それともわたし?」
孟徳の顔が忙しく変わった。ぽうっとなり、だらしなく笑み崩れ、そして花を口説く時の情熱的な眼差しになる。 花はくすりと笑った。
「孟徳さんは、どんな顔をしても格好いいですね」
孟徳はちょっとぽかんとしたが、意地悪そうに唇を曲げてみせた。
「今更おだてたって、遅いんだからね?」
翌朝、起き上がれなくなった花が、やっぱり余計なことを言ったかなあと反省するのは、また別の話。
(2011.7.28)
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