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「公瑾さんちの花ちゃん」「玄徳さんちの花ちゃん」「文若さんちの花ちゃん」「孟徳さんちの花ちゃん」がそれぞれのご主人さまとおしゃべりしています。
「あのう…何か顔についてますか?」
「い、いや。あなたが丞相の御方かと思うと…何やら冷や汗が出るような心持ちがします。」
「どうしてですか?」
「丞相はわたしの花をたいそう気に掛けられるうえに…その、妻を寝取ったらどうするかとよく言うので、あなたにはたいへん申し訳ないが、落ち着かぬのです」
「ああ、その冗談、わたしもよく聞きます。」
「冗談」
「ええ。それで、わたしのところの文若さんってば、このあいだ、いつもと違うことを言ったんです。丞相ならば好いた女にそれほどの隙をお見せになりますか、って。」
「それは、また…!」
「意味深でしょう? 孟徳さんったら凄い笑い方したけど、それで終わりでした。」
「その、あとは」
「別に何も。…孟徳さんは知ってますよ。わたしや、荀花ちゃんがどういう愛し方をするのか。ただ孟徳さんは、あんまり好きが募りすぎて暴走しちゃうだけです。」
「だけ、とは…ずいぶん腹の据わったことです」
「そんなことないです。わたしすぐ喧嘩しちゃうし…荀花ちゃんみたいに落ち着いていられるといいのになあ。」
「わたしの花も、皆の前では澄ましているようですが」
「そうなんですか? そんな風には見えないけどな…」
「赤ちゃん、寝ました?」
「済まないな、うるさくして」
「いえ、赤ちゃんは泣くのが仕事だって聞いたことありますし。」
「はは、俺の花と同じことを言うんだな。俺の花も赤子に添い寝してしまったし、しばらく相手をしてくれ。」
「はい。…あの、気になってたんですけど。可愛い帯飾りですね。劉花ちゃんとおそろいですよね」
「ああ、こういうものを編むのは気分転換になる。」
「とても可愛いです。…劉花ちゃんみたい」
「うん?」
「とても複雑だけど綺麗。曹花ちゃんや周花ちゃんみたいに思い切った豪勢さはないけど、すごく丁寧で落ち着きます。」
「…」
「玄徳さん?」
「いや…孔明が同じようなことを言ったのでな。」
「師匠が?」
「軍師の妻ともなると言うことも似るのかと感慨深くなった。」
「文若さんは軍師じゃないですよ。得手じゃないって言ったこともあります」
「だが、お前の眼差しのように正攻法なのだろう? いちばん手強い」
「玄徳さんに言われるとなんだか怖い…かも」
「…も、孟徳、さん?」
「ねえ」
「は、はい?」
「なんか悔しいんだけど。どうして君はそんなに色っぽいのかな。」
「色っぽい? わたしが!? 公瑾さんが聞いたら失笑しますよその言葉!」
「いや絶対ヤツもそう思ってるって!」
「それ公瑾さんに言っていいですか? いいですよね? 公瑾さーーん、色っぽいって言われましたよーわたし!」
「…色っぽい、ですって?」
「あ、公瑾さん! どうですか、わたしもちょっとは女らしくなったってことですよ!」
「…ふっ」
「笑った! いま笑いましたね…」
「魏の丞相殿。わたしの花のどのあたりが丞相殿のお目に止まったのでしょうか。後学のために是非お聞きしたい」
「や・だ。そんな顔して笑うヤツには教えなーい」
「孟徳さん、わたしには教えてくれますよね? 教えてください!」
「もちろんだよー。内緒だよ、あのね?」
「ぅわっ」
「早いな~!」
「こ、公瑾さん、羽交い締めって…苦しいです…」
「あなたの耳が近くていい。これから、わたしがあなたの何処を好ましいと思っているか、忘れないように一刻ばかり…さて、その程度で済むかどうかは分かりませんが、囁いて差し上げますよ。」
「うう…」
「降参しますか?」
「ちょ、ちょっと聞いてみたいので降参しない、って言ったらどうなりますか?」
「わたしの花はずいぶんと肝が据わっていますね。非常に心強い。…丞相殿、そのしまりのない顔でこちらを凝視するのは止めて頂けますか」
「いやー、仲がいいなあと思ってさあ。俺も寂しくなっちゃったし、あっちで俺の花ちゃんに構ってもらおっと」
「孟徳さん逃げないでください!」
「ふふ、さすがは機を見るに敏ですね…さて、花。ゆっくり話をしましょう」
「は、はい…」
(2011.1.12)
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