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二次創作。はじめての方はat first はじめに をご一読ください。
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 公瑾さんがむやみに頑張って意地張ってくれたおかげか(?)、文若さんverは水飴と蜂蜜を混ぜて和三盆を追加したような出来かと…
 
 というわけで、文若さんと花ちゃんです。
 
 


 
 
 …ああ…花、か。
 ここは…お前の寝台、か?
 ああそうか、わたしは…昨日の夜はずいぶん遅くここに来たのだったな。
 …うん? なぜお前がこんな日が高くなってからともに寝台に居るのだ?
 自分も休みだから一緒に寝過ごしただと? 確かに、わたしもお前も今日は休みだが…お前もともに寝ていては示しがつかぬ。
 こら、抱きつくな。わたしはお前を叱っているのだぞ? きちんと聞きなさい。
 そ、そんな顔をされては…
 ま、まあ…今回はこのぐらいにしておく。次にこのようなだらしのないことはしないようにせねばな。…うむ。
 今日は雨なのか。通りで少し肌寒い。あ、上掛けなど良い。…ここに、いなさい。
 …ん? わたしの今日の予定か?
 お前の手習いを見るつもりだ。近頃、ずいぶん忙しくて手習いを見ていなかったからな。だいぶ進んだか? おお、そうか。それではわたしも点検のしがいがある。起きるぞ、花。
 どうした? 具合でも悪いのか?
 もう一度、横になれ、だと?
 やはり具合が悪いのか? いま、医者を呼んでくる…いや、まて。わたしが呼びに行くのはまずい。
 いや、だから…わたしとお前はまだ婚儀もあげていないから、だな…いやもちろん、もうすぐ婚儀を挙げる約束をしたことは忘れていない。忘れていないぞ。段取りも決めつつある。お前の花嫁衣装を任せられる者も見付けた。丞相がうるさくてかなわぬからな、少し贅沢かも知れぬが美しいものを作らせている。いや、わたしも美しいお前を見たいとはもちろん、思っているぞ。
 そういう娘の寝台に夜遅くやってきたのは勿論、わたしの落ち度だ。
 だが、その…お前の寝顔が、好きなのだ。疲れている時にお前がかけてくれる声や、肩を撫でてくれる手を同じように。一日が終わったと、きちんと分かる気がする。わたしは、お前も知っての通り、仕事のことを考えていることが多いからな。夢の中でも丞相を叱っていることなど当たり前だった。
 こら、笑うな。 孟徳さんが可愛そう、だと? 言っておくが逃げだすのは丞相なのだぞ? 我々は被害者だ。何度困らされたことか!
 ん?
 なんだ、何度も…だから、わたしたちは起きねばならんのだ。既に時刻は過ぎているのだし…こら、引っ張るな。
 な、なにをそんなに嬉しそうなのだ…?
 腕を引きなさい。わたしの首の下では痛いだろうに。…これでいい?
 う、うでまくら…だと?
 わ、たしは枕が変わると眠れない…あ、いや、別に、その…腕を引かなくても良い。いまは季節がいいからな、この腕くらいで暑くなることはない。
 恋人ができたらやってみたかった、とは…はあ。
 いや、呆れた訳ではない。お前は、やはりわたしの考えとは違うところを行く。
 わたしが把握している「娘」というものは、恋人ができたら新しい衣や首飾りや、美しい詩を贈ってもらうことを喜ぶと考えていた。
 なのに。
 これで嬉しいのか? この、わたしに腕を差し出す行為が、それだけが。…そうか。いや、お前が嬉しいならばわたしはいい。このままでいい。
 …いや、違う。
 わたしも、嬉しいような気がする。お前のこの柔らかい白い腕とともに横になることが。
 良いか、あとでちゃんと手習いは見る。だがいまは、これもいい。
 
 
 
 (なあ。今日、令君ってお休みじゃなかったか?)
 (休みだぜ?)
 (なんで書庫にいるんだろうな)
 (あの可愛い子ちゃん向けの教材を探してんだろ)
 (うっわー。彼女だって休みだよなあ?)
 (だから、ずーーっと一緒に教えてんじゃね?)
 (…公私混同? …違うな。なんだろうな、この感じ。)
 (羨ましいだけじゃねえの?)
 
 
 
(2010.9.15)

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