二次創作。はじめての方はat first はじめに をご一読ください。
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公瑾さんと花ちゃんの婚儀話、前日、です。
数々の感想、ありがとうございます。
この連載が終了しましたらお返事したいと思います、ご了承ください。
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本来、こういうことを思うのは、わたしの習いではありません。
わたしは軍人です。死は常に隣にいます。ですからこれは、いかにも大仰なことなのです。しかし言わねばならぬ気がします。
わたしは、自らの将兵を減らさず相手の力を削ぐ策を建てる者です。そのためには自らの風評を使うことももちろん、あります。いつかは自分が死んだと、重傷だという噂を立てて敵をおびき寄せたこともある。
しかしその一方で、自分はまさに死のうとしてきた。死ぬことは恐怖ではない。それは怠惰でなく、自然に思っていました。
それをあの娘は…失礼、あなた方の娘はわたしをそこから引き離した。なんの策もなく、ただ恋というだけでわたしを連れ戻し、そして愛した。
そこからはすべてが衝撃であった気がします。
あの不思議な「本」で連れてこられた娘を、あなた方は忘れているのだろうか。それとも最初から無いものになっているのだろうか。
自分の身にそれが起こればと思うと、心底震えがきます。失ったことさえも忘れるなど、耐えられない。
確かにわたしは「失った」ことにこだわって生きてきました。「失われる可能性」と言ってもいい。すべてが馬鹿なことだったとは言いません。けれど忘れたいと思うことはなかった。失われる恐怖とはずっと戦っていかなければならないのは、ひととして自明のことです。だからこれからも、その願いはない。
彼女がわたしとともにいるのが幸せというなら、現実的にはわたしはその幸せを与え続けてやれないかもしれない。病。戦。暗殺。彼女の望みの通り生きられる保証はどこにもない。それは彼女も同じです。
だからこそ、言います。
彼女を見る、抱きしめる、口づける、想う。そのすべてが身に焼き付いてわたしは幸いです。彼女がその視線で、しぐさで、つたない手跡で告げるすべてと同じほど、いいえ、それ以上に。
わたしは、わたしの過去と等しく彼女を抱き続ける。
花。わたしの妻。
あなたのためにわたしは祈ろう。どうかあなたの幸いな思い出だけが、あなたのふた親に残るように。あなた方が、その娘に願うほど幸いであるように。
…それしか言えぬこの身を、直接申し上げられぬ不孝を、そしてそれすらも胸を張る自分を、お許しくださいますように。
(2010.11.20)
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