「玄徳さんちの花ちゃん」「孟徳さんちの花ちゃん」「文若さんちの花ちゃん」「公瑾さんちの花ちゃん」「仲謀さんちの花ちゃん」が集まっておしゃべりしている、コネタです。
　
　

　
　
　「今日はおひなさまだね」
　「こっちではできませんねえ」
　「作っちゃえば？」
　「さすがにうろ覚えだもん。」
　「そんな本格的なのじゃなくても、紙のおひなさまみたいな、手軽に作れるやつがあるじゃない。」
　「そっか、さすがあ」
　「それだったら、端切れでも作れますね。わたし、このあいだ文若さんの衣にした布のはしっこを貰ってたし」
　「わたしはおだいりさまに、もふもふ付けちゃおっと」
　「じゃあわたしは糸目のおだいりさまかな」
　「ね、ね、みんなで段飾りを作るとしたら？」
　「おだいりさまを絶対譲らないひとがいるでしょう？　ねえ曹花ちゃん」
　「もうっ。例えばの話でしょ？」
　「左大臣と右大臣は公瑾さんと文若さんで決まりだよねー」
　「ちょっと、うちの丞相を忘れて貰っては困るわ。」
　「あれ？　そういえばどっちかがおじいさんじゃなかったですか？」
　「白い髭付けてた気もするね。」
　「誰が似合うかやってみてから決めようか？」
　「…どうせ文若さんは老けて見られがちです…」
　「拗ねない拗ねない。意外に公瑾さんも似合うかもよ？」
　「意外に、って劉花ちゃんねえ…まあ、仙人とか自称したこともあるけど」
　「なんだかんだ言って、師匠がいちばん仙人っぽいよね？」
　　「「「「「いつまでたっても若く見えるものねえ…」」」」」
　
　
　
　「劉皇叔の手先はほんとうに器用でいらっしゃる。」
　「ずいぶんと愛らしい人形ですね。」
　「前に花に聞いたことがあってな。女子の息災と良縁を願う祭りらしい」
　「良縁なんてもう花ちゃんに必要ない！」
　「花が息災で居てくれれば何よりだからな。…さて、これは仲謀殿に」
　「お、おお。ありがとう。」
　「衣の色合いが非常に仲謀さまらしゅうございますね。」
　「おい、公瑾。これは花だよな？」
　「…仲謀さま。仲謀さまのおひなさま、とやらはのちほどわたくしが届けさせましょう。それでどうぞお気を鎮めください」
　「これは令君と、これは不本意だがお前のところの花だ」
　「こら、玄徳！　俺の花ちゃんはこんな風に目と鼻は曲がって付いてないぞ！　それに俺がいないぞ！」
　「どこが曲がっているんだ。ぞんぶんに花の愛らしさを込めたぞ。」
　「余計始末が悪いだろうが！」
　
　
　
（２０１１．３．２）

[20回]