明日から都督リクエスト週間にしたいと思いますので、今日のうちに。
　隔日更新できればと思ってます。よろしくお願いします。
　
　花ちゃんに聞いてもらいました、なシリーズ、第二弾。　
　
　あなたの好きな人のいちばん好きなところはどこですか、って聞いてみて？
　
　（ぶぶ文若さんにそんなことを聞けって言うんですか！？
　い、いやです、絶対に嫌！　だ、だって、ぜったいお説教されます！　文若さんのお説教がどれだけ長いか知らないでしょ！？　それに、好きな人に怒られるのって、すごくへこむんですよ！
　え？　絶対、お説教されない？　どうして分かるんですか？
　そ、そうですか…え、それは、ちょっと聞いてみたかったですけど…じゃ、じゃあ）
　
　
　
　

　
　
　…何だと？
　何故そのようなことを聞く。よもやと思うが、丞相の差し金ではあるまいな。そのようなことを聞いて丞相の得るものはない、だと？　甘いぞ、花。お前はどうして丞相には、そう…まあ、いい。言っても詮無い。
　それでどうなんですか、とは…なぜこういう時だけお前ははぐらかされてくれないのだ？　…いや、独り言だ。
　そうだな…
　裁縫は…まだ上達しないな。この間は、わたしの衣の袖を袋に縫い付けていた。おかげで手が出なかった。
　読み書きは、それなりに上達した。ここへ来たばかりに時に比べれば、格段の進歩だろう。
　兵法の暗唱は…丞相の編纂したもののみ上達したのは何故だと聞きたい。すぐに試されるから？　それだけ、だといいが…
　茶のいれかたはうまい。香り立ちが違うように思う。
　お前の作るちょっとした料理も味付けは独特な時があるが、不思議と嫌ではない。食が進むし、待ちかねている時がある。
　…花、どうした？　わたしは褒めているのだが…なぜ悲しそうにする？
　それは自分でなくても思いつくことだ、だと？
　…
　花。
　確かにわたしは仕事ばかりしている。
　だから他人を判断する際には、仕事の出来不出来がその主な着眼点になる。字の上手下手、案文の作りに無駄がないか、仕事の段取りがうまいか下手か。むろん、完璧な人間などおらん。実行力はあっても段取りが下手な者、結果は早くても過程が雑な者、字は美しいがやる気のない者、仕事は遅いが着実な者、部下の面倒見はよいが自分の仕事ができない者…様々な者が居る。
　だから…だから。
　料理とか、裁縫とか、茶の入れ方とかで他人を判断するのはお前が初めてだ。それゆえ、戸惑っている。仕事を量るのは慣れているが、お前を量る物差しはわたしのなかに無い。
　そしてそのすべてが、わ、わたしのためにしている、と言ったことがあるだろう。
　だから、わたしはお前を量れない。いや、量ることはない。わたしが…お前に、お前に…懸想しているから、お前がわたしのためにする、それだけでじゅうぶんだからだ。どれがいちばんだからお前を好きだなど、まったく分からない。順序が逆だからだ。
　…すまない。次までは、もっときちんと答えられるようにしておく。
　じゅうぶんだ？　何故だ。わたしはまだ考え尽くしていない。本当にいいのか？　おかしな娘だな。
　ああ、もう今日は下がっていい。…おやすみ。
　
　
　本当にあの質問は、丞相絡みではないのだろうな？　どうも丞相は、あの手の質問を花にして彼女が困るのを楽しんでおられるからな。
　しかし、相変わらず難問を振ってくれる。
　…そうだ。次は自分のほうからあの質問をしてみれば良いではないか。
　いや待て。
　長いこと考え込まれたらどうする。宿題にしていいですかと言われたら…
　い、いや、それはないだろう。あれだけ毎日、文若さんって本当に格好いいですよねと頬を染めて言ってくるのだから。
　いや、しかし…
　…いやまず、言ってみなければ始まらない。よし、明日だ。
　
　
　
（２０１０．８．１）

[46回]